日本市場では1980~90年代にかけて、本国アメリカにはないブラックレザーやラフアウトレザーなど、様々なレザーのアイリッシュセッターが日本企画で開発され、時の若者に大いに愛された歴史をもっています。しかし2000年頃、当時のレッド・ウィング社の方針で「アイリッシュセッター」のタグが外されてしまいます。特に日本においては、かつての猟犬をあしらったタグを惜しむ声がやむ事はありませんでした。そうした経験を持つ日本市場からの熱い要望を受け、1950年代後半~60年代初頭にかけて使われていた刺繍によるアイリッシュセッター・タグを縫い付けた、かつての#875を想わせる商品として#9875(レザー:ゴールドラセット・セコイア)が発売され、その翌年には、茶芯のブラックレザーである、ブラック・クロンダイクの#9874が発売されました。
ブラック・クロンダイクは、ブラウンの芯地の上にブラックの塗装を施した、1990年代まで存在していた伝統的なブラックレザーのつくりを再現した「茶芯」レザーで、履いていくうちにキズや摩擦の多い部分から黒い塗膜の下の茶色の芯地が見えるという、独特の経年変化を楽しめるレザーです。
また、1980年代初めまで#875などに採用されていた、羽根の先の長方形のカン留めステッチ、レクタングル・バータックも再現されたモデルとなります。